
最新鋭F35A戦闘機が青森県沖の太平洋海上で墜落
日本航空自衛隊の最新鋭F35A戦闘機1機が4月9日午後7時7分ごろ、青森県・三沢基地の東約135キロ付近の太平洋上でレーダーから消えた。
訓練中に墜落した戦闘機のパイロットは9日午後7時26分ごろに突然、無線で「ノック・イット・オフ(訓練中止)」と伝えていた。
トラブルが発生してからわずか1分程度で墜落したとみられている。
自衛隊と米軍は、哨戒機や護衛艦などを動員して捜索活動を行なっている。
その結果、海上で尾翼の一部を発見、回収した。
乗っていたのは飛行時間3000時間を超えるベテラン操縦士の41歳の第3航空団302飛行隊所属の細見彰里(あきのり)3等空佐。
9日午後6時59分ごろ、「対戦闘機戦闘訓練」のため4機編成の1番機として三沢基地を離陸した。
同7時26分ごろ、操縦士の細見彰里3等空佐(41)が無線で「ノック・イット・オフ(訓練中止)」と通信を最後に、1分後の同27分ごろ、レーダー航跡が消失した。
4機は2対2に分かれ、編隊長の細見3等空佐は攻撃側だった。
丸茂吉成航空幕僚長は12日、訓練の目的について、
「夜間に戦闘機を相手にした、戦闘に対する対処」
と説明。
細見3佐は過去にも同様の訓練を、昼夜どちらも経験していたという。
事故原因はアメリカ側か日本側か
これまで同機は2回の不具合を起こしている。
1回目は2017年6月の試験飛行中、冷却系統に異常を知らせる警報装置が作動し、緊急着陸した。この時は地上で部品を交換し、飛行を再開。
2回目は18年4月にキャノピー(天蓋)がロックされていない警告ランプが作動した。地上に降りて点検したところ、キャノピーに異常はなく、警告ランプの誤作動だったことが判明。
F35Aはそもそも、当初の予定に対して開発が大幅に遅れ、開発生産を急いだ経緯がある。
米会計検査院(GAO)は2018年にF35に未解決の課題が計966件あると発表。
この中には安全性や重要な性能を危険にさらす問題も含まれている。
パイロットの名が伏せられた理由
パイロットの行方は未だ不明。
名前が公表されなかったのは、内規で隊長を除き隊員が特定できる情報を公開しないため。
「事故の社会的影響を考慮し、家族へ連絡した上で」公表したという。
ステルス機なのになぜレーダーでとらえられるのか、と誰もが疑問に思うはず。
F35はレーダーに探知されにくいステルス性能のある最新鋭の第5世代機だが、訓練では機体から位置情報を発信して飛行するため、レーダーで捕捉できる。
つまり訓練以外では、レーダーにはとらえられない。
F35Aジェット戦闘機とは?
F35A戦闘機は米国など9カ国が共同開発したもので、レーダーに映りにくいステルス性能を備えた最新鋭の戦闘機。
F35は機体の性能によってA型、B型、C型の3種類のタイプがある。
F35A :基本型の通常離着陸(CTOL)機である
F35B:短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機(世界初の実用超音速VTOL戦闘機)
F35C :艦載機(CV)型
今回レーダーから消えたのは地上の滑走路から運用するA型だ。
航空自衛隊には2018年1月から配備され、現在、三沢基地に計13機が配備されている。
韓国空軍にも先月、2機のF35A戦闘機が導入された。
昨年9月には米海兵隊のF35Bがサウスカロライナ州で墜落し、米国防当局は燃料管の不具合が原因との見方を示しているが、F35Aの墜落は世界で初めて。

空自が現在運用するF15やF2など他の戦闘機と比べ、機体胴体部の凹凸がほぼないのが特徴だ。
レーダーに探知されにくい形状を追求。機体の素材、塗装にも最新の技術を結集した『究極のステルス機』と言われている。
F35は米国を中心に9カ国が共同開発した。
野田政権(当時)が2011年、F4戦闘機の後継機として計42機の導入を決めた。
価格や納期などの調達条件を米政府が決める「有償軍事援助(FMS)契約」による調達だ。
2012年度から予算計上が始まり、最初に契約された4機については米国で組み立てられた。
戦闘機の製造に国内企業を参画させる狙いから、残りの38機については三菱重工業の小牧南工場(愛知県豊山町)で組み立てられた初号機。
日本は2018年12月までにA型105機、B型42機の調達を決めた。
2013年度に約140億円で取得し、18年5月に同基地へ配備された。
政府は老朽化したF15戦闘機をF35に置き換え、将来的に147機体制にする方針だ。

三沢基地には同型機13機が配備されており、防衛省は残る12機について、当面は飛行を見合わせることを決めている。他の空自機についても、10日は緊急発進などを除き飛行を見合わせる。
F-35Aは、AIM-9X「サイドワインダー」短射程空対空ミサイルや、機関砲を射撃する機能を持たない。
つまり、目視距離内で航空機同士が交戦するのに必要な装備がない。
ロシアや中国が機体を回収したら米同盟空軍力が無力に
だが、この墜落事故は単なる140億円の損失にとどまらない重要な問題を孕んでる。
ロシアと中国は行方不明となっているF35を発見するためにあらゆる手段を取ると見られているからだ。
なぜかと言えば、もしF35を発見し、回収できれば、ロシアと中国はF35に関するテクノロジーを手に入れることで今後、数10年にわたり、アメリカの空軍力を弱体化させることが可能だからだ。
ロシアや中国がF-35を発見・回収すれば、F35は本格的な配備が始まる前にその存在意義を失ってしまうことになりかねない。
なお、同機は過去に2度、緊急着陸をしており、今回の事故との関係があるのか否か今後の調査が待たれる。
追記2019/04/30
アメリカ軍がチャーターした民間の深海活動支援船「ファン・ゴッホ」が、最新鋭ステルス戦闘機「F-35A」の捜索を4月29日に始めた。
墜落現場は、水深がおよそ1,500メートルあるが、ファン・ゴッホは水深3,000メートルまで届く大型クレーンのほか、無人潜水機も装備している。
自衛隊の事故で、アメリカ軍が全面的に展開するのは異例で、いかにF-35Aが機密の塊かを物語っている。
追記2019/05/07
岩屋毅防衛相は5月7日、F-35が墜落したとみられる現場付近の海底でフライトレコーダー(飛行記録装置)、操縦席のキャノピー(風防)のそれぞれ部分を含む機体の一部を見つけ、引き揚げたことを明らかにした。
しかし、かなり損傷が激しい状態で、同装置の内部にあるはずの航跡データの記録媒体は発見されていない。
操縦士も行方不明のままだ。
3日以降、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海底広域研究船「かいめい」が得た情報に基づき、米軍が派遣した民間の深海作業支援船「ファン・ゴッホ」が発見し海底から引き揚げた。
F-35はF-22と同様に機体形状と縁の角度の統一が図られており、ステルス性に優れた主翼の菱形翼と水平尾翼は、前縁に33度の後退角と後縁に14度の前進角を有しており、主翼には操縦翼面として、前縁に前縁フラップ、後縁にフラッペロンが装備されているほか、F-35Cでは後縁外側に補助翼が装備されている。
水平尾翼はF-22と同じく全遊動式であり、2枚の垂直尾翼は42度の前縁後退角を有しており、機体中心線から外側へ25度傾けられている。
主翼付け根前縁から機首先端まで続くチャインは機体の上面と下面を明確に分けており、エアインテーク(エアインレット)はチャインの下、コックピット後方の左右にある。従来の超音速ジェット機にあったような境界層分離板が無く、胴体側面の出っ張りによって境界層を押しやる仕組みになっており、ダイバータレス超音速インレット(DSI)と呼ばれるこの構造はステルス性の向上に一役買っている。
空中給油受油装置として、A型は背部に空軍式(フライング・ブーム方式)のリセプタクル、B/C型は機首右側に海軍式(プローブ・アンド・ドローグ方式)のプローブを装備する。
コックピットには前方ヒンジ方式の一体型キャノピーを採用した。これによりアクチュエーターの小型化と重量の軽減が可能となり、合わせて整備の際のアクセスも容易となった。
電気システムのユニットや整備アクセス関連のユニットを、それぞれ胴体側面に配置したことにより、今までと比べて少ないアクセスパネルで対応できるようになっている。ーーWikipedia

F35A
主要スペック | |
分類 | 戦闘機 |
乗員 | 1人 |
全幅 | 10.7m |
全長 | 15.6m |
全高 | 4.4m |
エンジン | |
搭載数 | 1基 |
名称 | F135-PW-100 |
性 能 | |
最大速度 | マッハ約1.6 |
航続距離 | 約2,200km |
武装 | 25mm機関砲 空対空レーダーミサイル 空対空赤外線ミサイル |
航空自衛隊サイトより
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